筋トレビッグスリー世界記録完全ガイド – 過去から現在までの最高重量とトレーニング方法
筋トレの「ビッグスリー」と呼ばれるスクワット、ベンチプレス、デッドリフトは、全身の筋力を測る指標として世界中のトレーニーから注目されています。本記事では、これら3種目の世界記録保持者の詳細情報と、彼らが実践してきたトレーニング方法について徹底解説します。
ビッグスリーとは
パワーリフティング競技で行われる3つの種目、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトを総称して「ビッグスリー」と呼びます。これらは複数の関節と筋群を同時に使うコンパウンド種目で、筋力とパワーの向上に最も効果的なトレーニングとされています。
競技には「フルギア」と「ノーギア」の2つのカテゴリーがあります。フルギアではスクワットスーツやベンチプレスシャツなどの特殊装備を使用でき、ノーギアではベルトとリストラップ程度の最小限の装備のみが許可されます。
ベンチプレス世界記録
ノーギア部門男子世界記録 – 355kg
アメリカのジュリアス・マドックスが、ベルトとリストラップのみで355kgという驚異的なウエイトを挙上し、ノーギアベンチプレス史上最重量の記録を樹立しました。
ジュリアス・マドックスは1987年生まれのアメリカ人パワーリフターで、身長191cm、体重は200から209kgという巨体の持ち主です。2019年から2020年にかけてベンチプレスの記録を次々と更新し、一時期は800ポンド(約363kg)への挑戦が注目されていました。
フルギア部門男子世界記録 – 635.4kg
装備ありの状態で635.4kgという重量を挙げたのが、ジミー・コルブです。これはベンチプレス史上最重量記録であるだけでなく、パワーリフティング史における単一リフトの最高記録でもあります。
ベンチプレスのトレーニング方法
ベンチプレスで重量を伸ばすためには、以下のポイントが重要です。
基本フォームの確立
正しいフォームなくして記録の向上はありません。肩甲骨を寄せて下げ、5ポイントコンタクト(後頭部、上背部、お尻、両足の5点をベンチ台と床に密着させる)を維持することが基本です。バーベルを胸の中央やや下のみぞおちあたりまで下ろし、脇を約60度に保つことで、胸筋全体に均等な負荷をかけることができます。
補助種目の活用
ベンチプレスの重量を伸ばすには、主動筋以外の筋肉も鍛える必要があります。上腕三頭筋を鍛えるJMプレス、肩を鍛えるハーフニーリング・オーバーヘッドプレス、体幹強化のためのフロアプレスなどが効果的です。
レップ数とセット数の設定
筋力増強を目的とする場合、最大筋力の70から85パーセントで1セットあたり1から5回、2から4セットを基本とします。セット間には2から3分の十分な休憩を取り、パワーの維持を優先します。筋肥大を目的とする場合は、最大筋力の60から75パーセントで8から12回を3から5セット行うのが効果的です。
漸進的過負荷の原則
設定したレップ数を終えてなお余裕があると感じる段階に達したら、重量やレップ数を増やす準備が整っている証拠です。常に限界の数レップ手前まで追い込むことで筋肥大が起こるという研究結果がありますが、限界に至るまで追い込む必要はありません。
スクワット世界記録
ノーギア部門男子世界記録 – 490kg
レイ・ウィリアムズが、スクワットスーツやニーラップといった特殊装備は一切使用せずに490kgの世界記録を樹立しました。
レイ・ウィリアムズ選手は2013年にパワーリフティングの世界に彗星の如く現れ、いきなり400kgオーバーのスクワットを記録した稀代のビッグスクワッターです。2016年には前人未到のノーギアスクワット1000ポンド(約453.6kg)を達成し、スクワット456kg、ベンチプレス240kg、デッドリフト383kgで、トータル1079kgという驚異的な記録を残しました。
フルギア部門男子世界記録 – 594.7kg
ネイサン・バティストが記録した594.7kgが、装備ありスクワットの世界最高記録です。
スクワットのトレーニング方法
正しいフォームの重要性
スクワットで効果を出すには、正しい深さまでしゃがむことが重要です。パワーリフティング競技では、大腿部が床と平行またはそれ以下になるまでしゃがむ必要があります。レイ・ウィリアムズ選手の弱点は、しゃがみで赤判定を受けることが多かったため、トレーニングでは常に正しい深さまでしゃがむ練習を重ねていました。
トレーニングプログラムの構成
スクワットの記録を伸ばすには、計画的なプログラムが不可欠です。基本的には週2から3回の頻度で、メインセットの前にウォームアップセットを必ず行います。筋力向上を目的とする場合、最大筋力の80から90パーセントで3から5回を3から5セット実施します。
補助筋群の強化
スクワットの記録向上には、臀部や背筋の強化が重要です。ヒップスラストで臀部を鍛えることで、デッドリフトとスクワットの両方に効果があります。また、懸垂で背筋全体を鍛えることで、スクワットの安定感が増し、より重い重量を扱えるようになります。
段階的な負荷の増加
無理のない範囲で限界を押し広げていくことが大切です。漸進性過負荷の原則を守り、少しずつ負荷を上げ続けることで機能が向上します。トレーニングプログラムを毎週変えるのは避け、一貫したプランを信じ抜くことが重要です。
デッドリフト世界記録
ノーギア・フルギア部門世界記録 – 505kg
2025年7月26日、ハフソー・ユリウス・ビョルンソンがバイエルンで開催されたアイゼンハルト・ブラック・コンペティションで505kgのデッドリフトを成功させ、世界の頂点にふたたび返り咲きました。
ハフソー・ユリウス・ビョルンソンはアイスランド出身の俳優兼プロストロングマン選手で、HBO『ゲーム・オブ・スローンズ』のマウンテン役で知られています。この記録は、自身が2020年に樹立した504kgの記録を4kg上回るものでした。
女子ノーギア世界記録 – 290kg
2022年7月に行われたギネス世界記録大会にて、アメリカのパワーリフティング選手タマラ・ワルコットが自身の大会記録を1.5kg上回る290kgで世界新記録を出しました。
タマラ・ワルコット選手が初めてジムに足を踏み入れたのは5年前の2017年で、パワーリフティングは人生の目的と自信を与えてくれたと語っています。彼女は子育てとフルタイムの仕事をしながらも、睡眠時間の確保とジムでのトレーニング時間を捻出し、競技の向上に努めています。
デッドリフトのトレーニング方法
グリップの選択
デッドリフトでは握力が記録を左右する重要な要素です。オーバーハンドグリップ、ミックスグリップ、フックグリップなど、自分に合ったグリップ方法を見つけることが重要です。高重量になるほど握力のサポートが必要になるため、リストストラップの使用も検討しましょう。
フォームの確立
デッドリフトには通常のデッドリフトとスモウデッドリフトの2種類があります。バーを地面から持ち上げる際は、背中をまっすぐに保ち、肩甲骨を後ろに引いた状態を維持します。足の真ん中にバーが来るようにセットし、膝を伸ばすと同時に腰を前に押し出す動作を行います。
トレーニング頻度と回数
デッドリフトは中枢神経系への負担が大きいため、週1から2回の頻度が推奨されます。筋力向上を目的とする場合、最大筋力の80から90パーセントで1から5回を3から5セット行います。筋肥大を目的とする場合は、60から75パーセントで6から10回を3から4セット実施します。
日本人選手の活躍
牛山恭太選手(ウッシー) – 66kg級世界記録保持者
牛山選手は2023年のジャパンクラシックパワーリフティング選手権大会で、スクワット240kg、ベンチプレス172.5kg、デッドリフト300kg、トータル712.5kgで優勝し、デッドリフトでは自身の持つ日本記録を更新、トータルでは非公認ながら世界記録を超える結果となりました。
牛山選手はパワーリフティングとボディビルの両方で成績を残している二刀流の選手として知られています。YouTubeチャンネル「パワーチューブ」を運営し、トレーニング方法や大会の様子を発信しています。
記録更新のための重要原則
世界記録保持者たちのトレーニングから学べる共通の原則があります。
効率的な肉体の使い方をマスターする
基本をしっかりと抑えてから、ウエイトと向き合うことが重要です。自信を持ってバーを構えるためには、正しいフォームの習得が不可欠です。
計画的なプログレッション
無理のない範囲で限界を押し広げていくことが大切です。計算に基づいた着実な努力からしか成長は望めません。漸進性過負荷の原則を守り、プログラムを毎週変えないことが重要です。
適切な回復
トレーニングごとに自分を限界まで追い込む必要はありません。常に3から5レップ分の余裕を残すトレーニングが効果的という研究結果があります。筋肉が回復する時間を確保することで、ケガのリスクを冒すことなく筋肉の成長を最大化できます。
長期的視点の重要性
トレーニングプランを立てたら、とにかくそれを信じ抜くことです。結果はパーソナルベストとして必ず現れます。短期間の爆発力より長期間の地道な努力こそが物を言います。
栄養とサプリメント
筋肉の素となっているのはタンパク質です。トレーニング後の超回復のタイミングでタンパク質が足りていないと、トレーニングの効果が減少します。プロテインの摂取は筋トレをするなら基本中の基本です。
まとめ
ビッグスリーの世界記録は、人類の限界に挑戦し続ける選手たちの努力の結晶です。ベンチプレス355kg、スクワット490kg、デッドリフト505kgという数字は、一般のトレーニーからすれば想像を絶する重量ですが、これらの記録を樹立した選手たちも、基本的なトレーニング原則を忠実に守り、長年にわたって地道な努力を積み重ねてきました。
世界記録保持者と自分の記録を比較することには意味がありませんが、彼らのトレーニング方法や哲学から学べることは数多くあります。正しいフォームの習得、計画的なプログレッション、適切な回復、そして長期的視点を持ってトレーニングに取り組むことで、誰もが自分のパーソナルベストを更新し続けることができるでしょう。
筋トレの道は長く険しいものですが、一歩一歩着実に前進することで、必ず成長を実感できます。世界記録保持者たちの姿勢に学び、自分自身の目標に向かって日々のトレーニングに励んでいきましょう。

